昨日と同じ今日、今日と同じ明日。
      世界は繰り返し時を刻み、変わらないように見えた。
      だが、世界はすでに変貌していた―。
     
     それは5日前の話、世界に二つの異変が起きた。
     
     一つは「新たに現れた星々」。
     空の片隅に新たな星座が現れたことに人は気づいた。
     レネゲイド関連組織はそれが「地球に近づいている、無数のレネゲイドの結晶体」だと分析した。
     徐々に速度を増すそれが地球に到達するまで、あと10日。彼らは命名した。『滅び(Damnation)』と。
     
     一つは「ジャームの凶暴化」。
     一部の知性のようなものを持っていたとされるジャームが、衝動のままに暴れる事態が頻発している。
     UGNはこの現象を『再活性(Reanimate)』と命名。突発的なR災害が増し、対応に追われることになった。
     原因ははっきりしている。件のレネゲイド結晶体『滅び』の接近による共鳴反応のようなものだ。
     
     迫りくる、逃れられぬ、世界崩壊の足音。
     全ての『プラン』を放棄した“プランナー”は、タワー・クロスバベルで宣言する。全てのレネゲイド組織へ向けて。
     
     
     『10本の“魔鍵(まけん)”を集めてください。それが、この星が生き残る唯一の道筋です』





ダブルクロス The 3rd Edition /"Gatecrash"
キャンペーン『ドラゴンの迷路 -Dragon's Maze-』



十のエンブレム、ただ一つの目的地!










第1話『らせんの円錐 -Helix Pinnacle-』
第2話『偶然の出合い -Chance Encounter-』
第3話『死闘 -Mortal Combat-』
第4話『不毛の栄光 -Barren Glory-』
第5話『研究室の偏執狂-Laboratory Maniac-』
第6話『合同勝利 -Coalition Victory-』
最終話『迷路の終わり-Maze's End-』













   ――クロスタワー、改めタワー・クロスバベル。
   ゼノスメンバー“記録者(レコーダー)”は常にここに在中し、情報が必要な相手に必要な情報を提供している。

   “記録者”「諸君らの奮起奮闘により、当計画の全ては完遂された。私はそれに対し、最大級の敬意を払っている」
   “記録者”「知っての通り、当計画は既に形を変え、レネゲイドと人間の有り方の模索を始めている。その前段階として事件の全貌を知りたいというのなら、私が教えよう」
   “記録者”「……私もまた、人とレネゲイドとの関係がどのように変化するかを興味深く注視している観測者の一人にすぎないのだからな」

    彼は、そこで一息つき、言葉を続けた。

   “記録者”「今回の計画については、UGN上層部、FHの一派、ゼノスメンバーにより『ドラゴンの迷路』のコードネームが与えられた」
   “記録者”「ドラゴンとは太古、『ガイア』が、レネゲイドの大本となった生命体を模して生み出したとされている。即ちは、起源の模写」
   “記録者”「あるのかも不明な『鍵』を探し、星の生存という出口を求めるこの計画は、レネゲイドそのものへの挑戦に他ならないだろう」
   “記録者”「全てのプランの記録価値は失われた。私はこれより、この『ドラゴンの迷路』に必要な情報を記録し続けることにする」

   “記録者”「当計画への疑問、質問などがあるのなら、まずは私に聞くと良いだろう。それが一番、計画の邪魔にならないからな」







   “記録者”「以下に提示する項目は、本計画に関して最低限把握しておくべき内容だ。ここだけは知っておいて欲しい」



     ◎『滅び』(※レネゲイド施設はこれを『本隊』と呼称する)

     地球へ向かって、宇宙から接近してきている無数のレネゲイド結晶体。
     小惑星サイズのものも少なくなく、ぶつかるだけで地球は壊滅的な打撃を受けるものと思われる。
     『再活性』による混乱もあり、非OVに向けた隠蔽作業は全く間に合っていない。専門家の意見を封じるのが関の山だ。

     その成分は賢者の石に近いようだが、より原始的な……一般的なウィルスよりも起源種に近しいものであると推測される。
     なんにせよ、現在のこの星にあるいかな戦力や能力を用いたところで、物理的にはじき返すことは不可能であろう。

     UGNと同様の結論をFHの研究セル『ツータイム』のリーダー綿貫由香里も出しており、現在双方の共通認識となっている。
     ……それは、刹那的な志向のFHエージェントのタガを外すのに十分な、絶望的な結論となっている。



     ◎『再活性』
     言ってしまえば『ジャームの凶暴化』である。
     理性は失っても知性的な行動をとれているジャームは多々いるが、それらすらも人が変わったような暴走を行うことになる。

     OVが事件に巻き込まれる際、自然と侵食率が上昇していく現象があるが、原理としてはそれに近い。
     『滅び』の接近に共鳴し、今までできていたレネゲイドの制御が効かなくなっていると推測される。
     ジャームのものほど劇的な変化ではないがOVにも影響は多少あり、特に能力の連続使用による負担が増している。

     『再活性』を起こしたジャームは、以下のEロイスを持つ。


      Eロイス【再活性(リアニメイト)】
      タイミング:オートアクション
      技能:- 難易度:自動成功
      対象:自身 射程:至近

      効果:『滅び』の影響をその身に過剰に受けたジャームは、今まで以上のレネゲイド能力と耐久性を得る。
      それは生物としての能力が増しているのではなく、ウィルスが地球上の生物の殻を破って活動していることを示す。

      あなたが[戦闘不能][死亡]になった時に自動的に使用される。
      あなたの[戦闘不能][死亡]を解除し、HPを[浸食率]点回復させる。(最大HPを上限とする)また、この際に[暴走]を受ける。
      このシーンに再び(復活エフェクトが使われずに)[戦闘不能]状態となった場合、それは[死亡]状態になる。
      また、これ以降あなたの使うすべてのエフェクトのLvは+[浸食率/50](端数切捨て)される。
      (これによって、Lvによる回数制限のあるエフェクトの最大回数は 増 加 す る )

      このEロイスは、所持者の浸食率が200%を超えている場合、Eロイス2つ分として扱う。




     ◎『魔鍵』
     プランナー曰く『星と人類の記憶』。
     『ガイア』および各時代に散見されるプランナーの同位体によってまれに生み出され、遺されてきた。
     大目的は『レネゲイド結晶体へ向けた地球情報の提供』であるが、情報量が多いため遺跡に対して他の運用ができる場合がある。

     十分な情報を提供するためには、これが10本必要になる、とプランナーは予測している。
     UGN、FHの一部セルそしてゼノスの3勢力がその確保の為に協力体制をとることとなった。
     最終的に、ギルド、SoG、ストレンジャーズ、ティンダロス、鴻央会、テンペスト、特調、宇宙友愛協会、神城グループの各組織が合流し、
     10の魔鍵を集めるに至った。







   “記録者”「以下の項目は、本計画にあたっての予備知識となる。各組織へのこれらの情報の提供は、既に済んでいると考えてくれ」



     ◎タワー・クロスバベル
     別名『ガイアの手』。美鈴曰く「宇宙より来る厄災に備えさせるために、『この星』が遺した可能性」。
     黒巣市の中心にあるクロスタワーの地下に存在していた施設。現在は役割を果たすために地上に露出している。

     本来は、高純度レネゲイドクリスタルに膨大な情報を収束させ、それを『本隊』に送信するための通信施設。
     だが、クリスタルがあまりにも巨大なため、その影響で黒巣市はOVやジャームを引き寄せる街になってしまっている側面もある。



     ◎『ガイア』
     “ちきう”のこと。この星で最も巨大なEXレネゲイド感染存在。
     40億年ほど前に感染して以来、『本隊』の接近に備え、遺跡や遺産と呼ばれる存在の作成など、様々な試みを行ってきた。
     『19年前の遺跡』もその一環であり、十分な文明を得た人類にレネゲイドを与えるためのウイルスの保存施設だった。

     『タワー・クロスバベル』はその目的に対する最も現実的な回答ではあるが、それでも荒唐無稽であることには変わりはない。
     また、黒巣市においては人為的(人?)に人を感染させるケースもあり、そうしたOVは『起源種』として覚醒することになる。



     ◎ギルドの魔鍵
     『陽炎の戦場』の記憶。
     裏ルートで入手した、東欧で発掘された特殊鉱石“ダキウム”で作られた魔鍵。
     レネゲイド親和性が高いという当鉱石を、鍵状にして保管していたのは、“弾屋”フランソワーズ・ルベーグである。
     ギルドのエンブレムとして扱う。アフターライフ等の代用エンブレムでの取得不可。

     現在、クロスタワーに駐在しているマリア・カルロフ、李 晃洲主従が所持している。
     危険な場所ではあるが、マリアはこの場所を離れる気はない。
     それは、『ギルドは一介の協力者などではなく、『ドラゴンの迷路』計画のれっきとした参加組織である』という表明に他ならない。


     ◎SoGの魔鍵
     『クロノスガーディアン』の記憶。
     SoGがその支離滅裂な研究の末に、唯一完成にこぎつけたという魔鍵。
     現代では考えられない技術が使われており、クロノスガーディアンは取り締まるか否か最後まで迷った。
     SoGのエンブレムとして扱う。アフターライフ等の代用エンブレムでの取得不可。

     現在、クロスタワーに駐在している“ライオンの瞳のダイヤモンド”砂村 けやきが所持している。
     彼女は最後のSoGとして、この星の未来に為すべきことを為すと決めたのだ。
     ……当然、その傍らには“怠惰”と“白変種”がいることは言うまでもない。

     
     ◎ストレンジャーズの魔鍵
     『デモンズシティ』の記憶。
     魔街に突如現れてた巨像の内部から発見された魔鍵。(一部は『魔街の王』が所持していた)
     櫻井翔香という女性が遺したというが、矛盾の多い物品だけに『禁書』のごとき存在となりやすいとのこと。
     ストレンジャーズのエンブレムとして扱う。アフターライフ等の代用エンブレムでの取得不可。

     魔街における作戦によって“サン・シーカー”“柘榴の肉片”らのストレンジャーズ隊員が確保した。
     DHシステムにより、『異界月の黒巣市』へと彼らごと放逐されたが、そこでの戦いを経て工藤 理彩が持ち帰った。


     ◎鴻央会の魔鍵
     『平安京物怪録』の記憶。
     平安時代に、菅原道真公の子孫が彼の御霊を鎮めるため、八尾比丘尼の差配により祀られた魔鍵。
     菅原組は今やヤクザの一家であるが、遠い祖先を遡るとその系譜に行き着くという。
     鴻央会のエンブレムとして扱う。アフターライフ等の代用エンブレムでの取得不可。
     
     現在、クロスタワーに駐在している“崩れ去るもの”菅原道之が所持している。
     バーネットとの戦闘の負傷で戦線こそ離脱しているが、彼にはまだやることがある。
     “赤衣の座敷童”花観月 楓華もまた、彼の傍らにいる。
     
     
     ◎ティンダロスの魔鍵
     『オーヴァードアカデミア』の記憶。
     OVの学園生活の水面下で、UGNとFHが探し求めていた『遺産』。
     RBとして自我を得たそれは学園島を抜け出し、“プロフェシー”を名乗り、ティンダロスに居座っていた。
     ティンダロスのエンブレムとして扱う。アフターライフ等の代用エンブレムでの取得不可。
     加えてこのエンブレムは、『OVが所持することはできない』。

     現在、クロスタワーに在住しているティンダロスメンバー、櫛田藤一が所持している。
     いや、所持しているというのは正しいのか……ともあれ、彼の存在なくしてこの魔鍵は機能しないのは間違いない。
     ティンダロスの……非OVである彼もまた、この『ドラゴンの迷路』に必要な存在となっている。


     ◎テンペストの魔鍵
     『ナイトメアプリズン』の記憶。
     血と惨劇を糧として注がれ続け、主たる女が最後の贄となることで作り上げた魔鍵。
     悪夢の檻は、“情報集合体存在R=B”の端末の一人が、星の記憶を意図的に生み出すため作り上げた――愚かしくも。
     テンペストのエンブレムとして扱う。アフターライフ等の代用エンブレムでの取得不可。

     ブラドホルトの制圧は、NATOの要請を受けた米軍の精鋭OV部隊によって行われた。
     その中には、フロウストーン兄妹を含む、多くのテンペスト隊員も含まれていた。
     満身創痍の『ストロングホールド』もまた、北欧での激戦を乗り越え、黒巣市に戻ってきた。


     ◎特調の魔鍵
     『バッドシティ』の記憶。
     湾岸地区最大のギャング団“ブラックスワンズ”の団旗。魔鍵としての役割を果たす。
     その土地の記憶がもたらしたものか、「力づくで奪わなければならない」という特性を持つ。
     特調のエンブレムとして扱う。アフターライフ等の代用エンブレムでの取得不可。
     なお、ステージ『バッドシティ』のキャラクターは、所持者よりこれを強奪することが可能。条件はGMが設定する。

     UGNの情報提供を受けた警察機関が、持ち得るだけの戦力を投じて“ブラックスワンズ”を鎮圧した。
     その影には、“ディアボロス”をはじめとする一部FHの活動もあったとも言われているが、定かではない。
     何にせよ、激戦の果てに立っていたのは、羽黒 真理という一人の女刑事だけだったという。


     ◎宇宙友愛協会の魔鍵
     『レネゲイドウォー』の記憶。
     宇宙友愛協会の有志が作り出した魔鍵。UGNによる真実の伝播に呼応してはせ参じた、片岡 早紀という女が持ち込んできた。
     宇宙友愛協会のエンブレムとして扱う。アフターライフ等の代用エンブレムでの取得不可。
     以下の性能を持つ、種別:白兵の武器としても扱う。
     技能:〈白兵〉 命中-2 攻撃力:4 ガード値:3 射程:至近  m:メインプロセス中に浸食率を5%上昇させることで<交渉>によるD+3 攻撃ならばATK+5。

     数多の次元の記録を記したという無限書庫。ある一人の女が、そこに紛れ込んだ結果産み出した一つの小説。それを基に作りだした魔鍵。
     存在そのものがいかがわしいものだが、その存在こそが、異世界、宇宙、そしてレネゲイドに対する情熱は本物であることを示している。
     世界にとってあり得た、1つ可能性。その中で開発された『レイジングアーク』と呼ばれる杖を模している。


     ◎神城の魔鍵
     『モダンタイムス』の記憶。
     当時のロンドンを知るダークワンの金属細工師が、マダム・ミヤコに依頼され、制作した魔鍵。
     それはその後、巡り巡った結果、美術品として北条 建彦が所有していた。
     神城グループのエンブレムとして扱う。アフターライフ等の代用エンブレムでの取得不可。
     会長派と反会長派に分かれた組織の特徴を吸収しており、二つに分けることが容易という特性を持つ。

     神城グループの反会長派は、黒幕たちと共に『異界月の黒巣市』に渡っており、そこで元の次元の崩壊という理外の野望を知ってしまった。
     反会長派の生き残りである山中やまさは、二つに分割された魔鍵の片方を確保し、クロスタワーメンバーと合流した。
     もう片方は会長派のエージェントが“誘惑者”テトを撃破し、回収された。製作者の協力もあり、別れた魔鍵は再び繋がった。


     ◎ガーディアンズの魔鍵
     『黒巣市』の記憶。
     アルフレッド・J・コードウェル博士が黒巣市襲撃の際に遺跡の存在を確かめ、開発を続けてきた魔鍵。
     虹色……いや、博士の言葉を借りるならば『separate color』と言うべきか。数多の色に変わり続ける輝きを放っている。
     UGN、およびFHのエンブレムとして扱う。双方の陣営の同意があってはじめて効果を持つ。

     魔鍵とはステージの記憶の結晶。黒巣市で行われて来た数多の出来事を吸収することで、その輝きを得た。
     そして、黒巣市のUGN、そして“マスターレイス”等の問答によって完成した。
     最後の“マスターレイス”である久本 千歳はその鍵に、UGNの名前でもFHの名前でもなく、
     博士の理想である『人とOVの共存』を夢見て、博士の作り出した最初の組織である『ガーディアンズ』の名を付けた。









   “記録者”「……以下の項目は、希望があれば提供はするが、特に知らずとも計画遂行に問題はない。余談と言うやつだ」



     【『レネゲイドとのコミュニケーション』について】
     本作戦における最終目的は「『滅び』と呼ばれる結晶体への信号送信」であり、その為に10本の魔鍵の情報量が必要とされているが、
     これは言ってしまえば『その速度で来ると地球壊れます、ゆっくり来てください><;』というだけの意思伝達に、それだけのリソースが必要だということである。

     というのも、レネゲイドのコミュニケーションは非常に難解であり、人類のこれまでの理解では全く追いつかないのだ。
     無理に言葉を聞こうとしても、人間には正しい解釈が出来ず、誤解をしたままその言葉に呑まれてしまうほどに。
     言語体系は12あるとされる。「解放」「吸血」「飢餓」「殺戮」「破壊」「加虐」「嫌悪」「闘争」「妄想」「自傷」「恐怖」「憎悪」。
     そう、『衝動』とはつまり、レネゲイドなりに意志を発信し、人間がそれを受けた結果であり、それが悪意なき悲劇の発端となっているのだ。

     それだけ交流の難しい存在への意思疎通の方法として、ガイアは地球のありったけの情報を伝達し、「自分たちはどう言う存在なのか」を示すという方法を選んだのだ。


     @“DHシステム”

     正式名称は"System:Distance of the horizon(水平線の彼方)"。かいつまんで言うと『空間転移兵器』。
     FHエージェント『空間 智恵理』が偶然接触した、別世界の黒巣市にて開発された。
     一連の事件は完全に解決しているが、空間 智恵理を支援していたFHにはアジト一か所程度しか打撃を与えていなかった。
     この事件についてはジャネッタ=マクレーンらも完全に蚊帳の外であり、智恵理の背後関係は完全に闇の中である。

     ただし、同システムはすでに黒巣UGNも現物を確保、「対処のための」研究を進めている。
     黒巣市内で使用されれば、その解析は可能である――故に、次元の繋がりの歪んだ魔街で使われた。

     ※この設定はHover-Bさんのキャンペーン"Guardian-Fleet"シリーズの設定を独自解釈を交えて使わせてもらっております。


     @“魔街”
     『こちら』の時系列にては9年前、“震夜”によって発生した特異点。
     ジャームの横行する危険地域として有名だが、その理由は次元の繋がりが歪んでいることにある。

     来れるはずの場所に、そして行けるはずのない場所に繋がっている。その性質は『無限書庫』と類似している。
     ただし、こちらには無限書庫のような『管理者』は存在せず、ストレンジャーズがその役割を代行している。 
     当然、陸防上層部と……意外なところでは、米軍もその正体を把握している。


     @“魔街の王”
     EXレネゲイド『ガイア』が“魔街”の監視のために用意した端末。その姿は可変。
     ゆえに、“魔街の王”が“魔街”を生み出したという説は明確に間違いである。

     ストレンジャーズの菅原陸将とはある程度の情報の共有が成立しており、“魔街”の維持に貢献している。
     今回(>ヮ<)な姿だった件については、『異様に馴染みます!縁があるに違いありません!』とのこと。


     @【起源種】
     大本は、レネゲイドウィルスがEXレネゲイド『ガイア』の中で変質した存在。
     現代にレネゲイドが放たれて19年の間に、人間に合わせてウイルスは変質したが、起源種は由来が違う。

     故に、19年前の遺跡に近い場所での感染なり、『ガイア』が人間を直接感染させたりといった、、
     『ガイア』に近い感染経路のOVが発症したときにのみ、こういった特別な能力を得るという。

     『起源種』だから特別な存在なのではなく、特別な由来だから『起源種』に分類されるのだ。


     @【輪廻の獣】
     星の癌細胞。『ガイア』の中でレネゲイドが変質していくうちに生まれたイレギュラー。
     輪廻の獣が滅びに向かうのは、存在そのものが、レネゲイドの生物としての本能を無視しているからである。
     ……逆説的に、本来のレネゲイド自体は決して『生物を滅ぼそうとするもの』ではないことの証明でもある。

     コードウェル博士は、この輪廻の獣に適合したレネゲイドウィルスを用い、ウロボロスを生み出した。
     すべてを滅ぼさんとする性質は、宿主のウィルスを狂わせ、全く新しい力を生み出すに至った。
     インフィニティコードは博士ならではの研究であり、ウロボロスが拡散した世界には、必ずその干渉がある。


     ◎“夜”
     “鎖の夜”を発生させることを目的とした黒巣市での暗躍を行うセル。
     “プランナー”により、“フィフスドーン”の悪用を防ぐ目的で作られた。
     しかし、“プランナー”のFH離脱と、“インフィニティコード”の発動により、その存在理由はほぼ失われていた。
     昨今は、“ファートゥム”の庇護を受けその手助けとなる活動を行っていたが、“バーネット”を呼び起こした辺りで人員が全滅した。
     
     ちなみに、天城 美鈴は“夜”の活動を追ううちに、自らが“鎖の夜”を保険として用意することを思いついたという。
     彼女が着想を得たことこそが、“夜”の活動の一番の功績というのも皮肉な話である。
     

     ◎“arcanum”セル
     本来は“夜”の1セクションに過ぎなかったが、活動を続けるうちに此方が肥大化していったというおかしな経歴がある。
     (故にというか必然的にというか、“夜”の活動の折には“札”が参加しているケースが散見された)
     
     かなり長く濃い歴史を持つ。現在のセルリーダーは"arcanum"海道 直だが、“誘惑者”の介入によりその制御を離れている。
     先ほどの新市街襲撃の主力となった他、現在も多くの戦闘部隊が残留している。
     
     "arcanum"は“柵掲げるもの”“唆すもの”らと共に姿を隠した。その後の行方は知れない。
     だが、“崩れ去るもの”がタワー・クロスバベルに居残っており、連携のためのラインは今も確保されている。
     その証拠に、“ファートゥム”を追い詰める際には、適切なタイミングでFHの動きを混乱させる策を放った。



     ◎FHの真実

     『セントラルドグマなど存在しない。ただの虚構である』。

     FH発足時の12のリエゾンロードの存在は真実であるが、その席が空いても碌に補充はされていない。
     「強力なジャームがFHのトップには存在する」という現実味のある噂だけで、事は済んでしまうのだ。

     “ファートゥム”やFH上層部はトップがハリボテであることを隠し、セルの欲望を煽り、活動を存続させてきた。
     主である“プランナー”のいなくなった折のコードウェル博士の出現は渡りに船と言えた。

     コードウェル博士にとっては、『人とOVの共存』と言う理念に対し、UGNさえも障害足りえると判断しての亡命であった。
     黒巣市への大攻勢やFHの力を利用しての研究の果てに、“プランナー”のプランの果て……レネゲイドの本隊の情報を得た。
     博士は真実の公開の下地作りのためにUGNの力を削ぐ一方で、独自の『魔鍵』の研究を進めることとなる。


     ◎世界の真実
     レネゲイドの真実は公開された。今はまだ、『滅び』と『再活性』の混乱が大きく、その影響は表に出てはいない。
     UGNのこれからの仕事は、これから生じるであろう混乱をどう抑えるかと、その後の秩序をどう保つかだ。

     ……『ドラゴンの迷路』計画が、全て終わった今、世界は形を変えようとしている。